会社説明会で学生から質問を受け付けると「面接では何を聞くのですか」と尋ねる人は多い。履歴書は提出ずみ、エントリーシートも出している、各種のWEBテストも受けさせられた、いまさら直接会って話をしてもどうせ印象しか見てないんでしょ?というのがこの質問の背景だろう。
相当パンツが脱げるような人でないかぎり、人は無意識に自分の不得意なことを避ける傾向にある。バイキング形式の料理を取りに行けば、嫌いなものを避けるのと同じ理屈だ。自分のイニシアチブで会話をしているとついつい、いつのまにか自分のフィールドから出ない会話になっていく。
履歴書では不都合なことはできるだけ省いて記入するのが普通。話をすることよりも話をしないことの方が、また書いてあることよりも書いていないことの方が時に大きな意味を持つ。
本人がチームワークを信条としていたりリーダーシップの発揮を重要事項と考えているのであれば、会話の中心はそこになる。もしそこに話題が向かないとすれば、得意ではないか、またはどうでもいい領域の話題なのだ。「聞かれなかったから答えませんでした」は言い訳にならない。
こうして、自然な会話の中で相手の得意、不得意、興味や関心事を探り当てることができる。
履歴書のチェックは、書いてあることを分析するのではなく「何が書いていないのか」を探すことだ。浪人や留年、中退や転学など、書いていない情報には大事なことが隠れていることは多い。隠そうと思うがあまり、かえって目立つことは以外に多いのだ。