説明会などで学生から寄せられる質問で一番困るのは、実はこの「やりがいは何ですか」ではないかと思う。正直、返答に窮する。

社会人はいろんなモチベーションで働いている。「私は金さえ良ければいいのよ」と風俗に身をやつす女性も居れば、「会社も嫌い、上司も嫌い、だけどこの商品に関われて幸せ」っていう人も居るだろう。「いやぁ、何の仕事でもいいんだけど、たまたま近くにあったからさぁ」という利便性だけで働く人も居れば、「給料もクソ、人間関係最悪、だけど有名企業だから」っていう人もいるかもしれない。「家族のために働いています」って言われてもまだ就活生にはピンと来ないだろうし、「スポーツカーのローンのために働いています」と言われたらそれこそ全く共感もできない。

結局「やりがいは何ですか」というのは単に個人の人生観を聞いている質問で、あまり役に立たないのだ。訊かれるこちら側も「これって何の役に立つんだろう」と思うことは多い。

しかしこれをちょっとだけ言葉を足すと俄然、意味を持ち始める。

「他社には無い、御社ならではのやりがいは何ですか？」

これだと会社の特徴を社員当事者に聞く質問になる。

新卒1年目の新入社員でさえも、同級生と会社の話はするからその違いについてそれなりの意見は持っている。5年や10年の社会人経験があれば取引先や顧客から他社の様子を見聞きしている。誰に聞いても自分の会社「ならでは」の特徴はきちんと掴んでいるはずだ。

とくに業種を絞って就活をする場合には有効な質問だと思う。同じような商材やサービスで、同じような市場で競っている２社が、自社をどう特徴付けているのか。かなり興味深いではないか。

その上で「他の会社と大差ないんじゃないかなぁ」とか「特に特徴らしい特徴は無い」などという答えが帰ってきたら、そういう働く意識レベルが低い人を堂々と会社説明会に出す会社は絶対に働きがいを感じられないはずなのでやめておいたほうがいい。

さてテクダイヤならではの「やりがい」については、ぜひぜひ会社に足を運んで聞いて頂きたいのでこの場での回答は控えておこうと思う。