Good job!

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先週テレビで、まだ会ったことのないおじいちゃんを尋ねて初めてイランを訪れた日本育ちの小学生を取り上げた番組を見た。その女の子がイランのジューススタンドで「美味しい!」と親指を立ててGoodのサイン出した途端に、お店のおっさん激高。そんな年端もいかない女の子に大のおとながムキになって怒ることもなかろうに、と思ったのだが、親指を立てるこの仕草はイランでは相手を侮辱するサインなのだそうだ。そりゃ可愛い女の子がニコニコと「このクソ野郎」ってサイン出したら怒って当然か。ってことは、イランじゃFacebookで「イイネ」はできないし、エド・はるみは放送より前に入国禁止の危険人物か。映画ターミネーターだって感動のラストシーンも指にモザイクかけんのかな、そっちの方がよっぽど誤解を招くんじゃないか、などと要らぬ心配をしてしまう。

シンガポールのガムの持ち込み禁止とか薬物で死刑になってしまう東南アジアの国ような、法律にかかれているようなことならいざしらず、文化や習慣の違いはきちんと調べないと出てこないことも多く実戦で学ぶことは多い。

かつて私が頻繁に韓国へ出張していた時のこと。お客さんのところへ訪問すると必ずと言っていいほど「おいくつですか」と聞かれる。聞かれなかったことはない。次に「ご結婚はされてますか?」。もしYesと答えると次は「お子さんはいらっしゃいますか」で、居ると答えたとすると「おいくつですか」「男の子ですか、女の子ですか」と続く。Noと答えた場合も「彼女はいらっしゃるんですか」とか「何年付き合ってるんですか」「ご結婚の予定は」とか、そんなこと仕事に関係ないだろうと思うのだがプライベートなことにグイグイと踏み込んでくることも珍しくない。

当然、出身大学を聞かれることも少なくない。そりゃ東大や京大なら有名だから韓国人でも知ってるかもしれないが、私立大なんかろくに知らんだろうに、と思っていると、これがどういうわけかそこそこ名の知れた大学なら学校名どころかランクも知っているから恐れ入る。

最初は面食らうかもしれないが、相手のことを知ろうとするのは「あなたとの距離を近くしたいのですよ」「あなたとは赤の他人じゃないんですよ」という好意のあかし。同時に、韓国は非常に儒教文化が強く、年齢は会話をすすめる上では最初に確認をしなければならない。うっかり年上にタメ口など使おうものなら無礼千万。図々しさと同時に妙に礼儀正しい部分が同居している、そういうお国なのだ。

これが欧米で仕事をするとなると話がガラッと変わる。特にアメリカでは相手の年齢を聞くことなどほとんど無い。仕事関係ならまず無いだろう。年齢はむしろ「歳で人を判断しやがって」と相手に思わせてしまう、聞いてはいけない類の質問だ。

言葉は大切なコミュニケーションツールだ。しかし言葉以外の文化や習慣も重要だ。案外、言葉が分からないことについて人は寛容だが、その国のマナーを理解しないこと、理解しようと努力しないことについてはどこの国も手厳しい。言葉が今一歩で、非言語コミュニケーションに頼らなければいけないのなら、なおさら文化や習慣の違いに気を配るべきだと思う。