おせっかいとリーダーシップ

うまいものを他人に食べさせたい、というのはリーダーシップのわかりやすいバロメーターではないかと思う。その意味では現社長も先代社長も共に美味しい食べ物や店をよく知っていて、そしてやたらと食べさせたがる。

食べ物なんて嗜好そのものだし、多かれ少なかれ好き嫌いがあるものだ。それを「いいから食ってみろ」「騙されたと思って食べてみろ」というのはおせっかいそのものなのだが、リーダーシップとはそもそもそういうものだろう。

食べ物は健康やモチベーションの維持に直結する問題だ。

昨日テレビで、女子シンクロナイズドスイミングの日本代表チームの練習風景が放映されていた。食べることもトレーニングと共に重要で、一日の摂取カロリーはなんと4500kcalにものぼるという。実に一般成人男子の倍だ。

食べないと動けないのは当たり前だが、摂取カロリーが少なすぎると身体は筋肉を分解してエネルギーとして消費してしまう。練習についていくために食べ、筋肉をつけるために食べ、そして筋肉を減らさないために食べる。

それだけの量を単調な味で食べるのはモチベーション維持もできないから、専属の栄養士や調理師が様々な工夫をして料理を作っている。井村コーチはプールサイドでシンクロの指導をするだけでなく、食べることにも目を見張らせている。

自分のチームメンバーが青白い顔をしていたり不健康に痩せていれば「大丈夫か」「ちゃんと食べてるか?」と気にするのは、チームとして最高のパフォーマンスを発揮させるためにリーダーが気にしなくてはいけないことだ。食い物なんかなんでもいい、と頓着しない人で健康な人は居ないし、メンバーの健康状態に気を使わない名将は居ない。これはスポーツ選手であれサラリーマンであれ同じこと。

加えて、美味しいものを食べるという時間を共有し感動を分かち合いたい、というのも重要なリーダーシップの要素だ。単なるグルメで食べることに興味はあるが他人に食べさせようとか一緒に食べようとは思わない人は、リーダーには向かない。

おせっかいとは「こうあるべき」という、ビジョンに基いたアドバイスだ。親が「朝ごはんをちゃんと食べなさい」「ジャンクフードは食べちゃダメ」「ラーメンばっかり食べたらいけない」というのは自然な行為だし、そういう親心=おせっかいが無い人はリーダーには成れないし、なるべきでもないと思う。