今日で9月も終わり。10月1日は内定式をやるところが多いが、その内定学生から毎年寄せられる質問、「学生時代にやっておくべきことは何ですか」について触れておきたい。
まず一つははデータの収集だ。
就職すれば会社の業界という枠に閉じ込められてしまう。食品を扱っている傍らテレビ放送をやっていて同時に大学受験予備校もやってる半導体メーカーの銀行、なんてのは無い。就職すればおのずとかかわる分野は限定されてしまうのだ。社会人になれば日々の仕事に追われ、専門性と引き換えに視野が狭くなっていく。
くまモンのデザインで知られるクリエイター、水野学は「センスとは生まれつきではなく、知っているものの組み合わせや延長、発展で生まれるもの。知識の無い人間にはセンスは生まれない」と言っている。社会人になってから慌てて知識の幅を広げようとしても時間的余裕が無い。だからその先鞭は学生のうちにつけておくべきだ。
二つ目に大事なのは、何をやっても必ず「問い」を入れること。
単なる観光旅行が馬鹿馬鹿しいのは、そこに問いが無いからだ。ツアーで用意された場所へ行き、用意された場所で用意された物を食って単に楽しかった、面白かったでは残るものはなにも無い。なぜそれをするのか?なぜそこに行くのか?そこで何を発見したのか?自発的な「問い」を持たない行動は、他の言い方をすれば「惰性」と言う。惰性は何も産まない。
三つ目のポイントは「人との関わり」。
時々、頑張っているのにアピールに魅力を感じない就活生と出会うことがある。人との関わりが薄い場合にそれを強く感じる。留学をしたのに友人や同級生の関わりが全然見えない人。体力的にもきついアルバイトをずっとやってきたのに人との会話を必要としない仕事だった、などの場合だ。
学生時代に勉強し、いろんな事に挑戦し膨大なデータを仕入れたとしても、それを他人に伝えるだけの手段や表現力を持たなければ結局は宝の持ち腐れ。他人を説得し感動させる表現力は人と係る実践でしか身につかない。
学生は社会人に比べ、自由がある。もし中学卒業で働き始めたらどうなっていたか、と考えればその自由度が少しは分かるだろう。中学卒よりも高卒、高卒よりも大卒というように、時間の余裕に伴う知識や経験の幅広さが物を言う。こじんまりとまとまってしまうと、大学生らしさが無くなってしまうのだ。
それらを踏まえて私がすすめるのは海外へ行くことだ。もちろんお気楽・お手軽な観光ではない。シリコンバレーの世界最先端技術が感じられる場所でもいいし、またカンボジアやミャンマーなどの新興国でもいい。いずれにしろ日本のぬるま湯に浸かっていては駄目だ、と思えるような、今後の自分の生き方にヒントを与えてくれるような地に行って刺激を受けることを是非オススメしたい。
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