すべては自分ごと

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テクダイヤはステートメントとして「TEAM 非常識」を掲げ、さらにそのステートメントを実現するために3つの行動指針がある。その一つ「すべては自分ごと」について、今回は話をしてみたい。

私は社内でダイヤモンドの専門家のようなフリをしているが、テクダイヤでダイヤモンドに関わるようになった最大の理由は、当時セブ工場赴任から帰ったばかりで手が空いていたからだ。

それまで会社の中でダイヤモンドの担当は会長(小山社長のお父様)ただ一人。さすがに忙しい人なので「じゃぁ、後はお前やっといてね」という感じで任されるようになった。別の言い方をすれば放置か、さもなきゃ無茶振りだ。

本来の仕事はダイヤモンドスクライブツールによる顧客のウェハのカッティングと技術指導だったが、その頃のツールは問題が多く、製造から見直さないと埒が明かない。自然と、誰に頼まれたわけでもなくひたすらダイヤモンドを追いかけ続けて現在に至る。

実は現在携わっている人事の仕事もそうだった。私がセブ工場へ赴任したきっかけは、当時の工場長が一時的に帰国するためで、私の役割は留守番、工場管理全般。それまで本社でやっていた仕事は輸出入で、工場管理どころか人事とも全く関係がない。

しかし赴任してみると人事面で問題山積。就業規則の見直し、評価や賃金体系の構築など、人事の仕事をやり込むと、いつのまにか人事のプロということになっていた。セブ工場で人事をやってくれなんて話は赴任前も後も一つもなかった。

専門外の仕事にしゃしゃり出るのは、球技に例えると、広いフィールドでボールを追いかけるイメージだ。「あそこにボールが落ちる。誰も取りに行かないなら、自分が行かなきゃいけない。」

むざむざとボールが落ちてチームが負けるのを傍観することほど馬鹿らしいことはない。自分の仕事じゃないから、などと言っている場合ではないのだ。

ただし、興味が先走ってあちこち手を付けるだけで周囲に還元しないと、ただの食い散らかしになる。あくまでも他人のために、自分が率先して身につけた知識や技術を還元し、仕組みや製品として使われることがとても大切だ。

空白地帯に走り込んで、ボールをキャッチした後はそのボールを抱え込まずに仲間に渡す。

「全ては自分ごと」は大事だが、自分の中にだけ抱えないことも重要なのだ。