先日、面接した学生さんに将来の夢を聞くと「100歳まで生きること」という返事が帰ってきた。それで思い出したこの本。100歳、ずっと必要とされる人 ――現役100歳サラリーマンの幸せな生き方」だ。
この福井福太郎さんが言っている「必要とされていたい」っていう言葉は、だいぶ前に紹介した山田ズーニーの本「『働きたくない』というあなたへ」に出てくる「人間には行くところと帰る所の二ヶ所が必要」という言葉と重なる。必要とされた場所(仕事場)に行き、必要とされる場所(家族のところ)に帰るわけだ。そう考えると世の中、職場でお払い箱になり、家庭でも居場所が無い人が如何に多いことか。
私が自己成長という言葉を嫌いな背景もここにある。有名になりたい、権力を握りたい、自分の思い通りにやりたい。そういう自己中心の考え方の最たるものが自己成長じゃないか、と思う。
福井さんの言葉には、自分が幸せになりたいなんてそういう思想が全く見えない。出てくるのは「他人」であり「他人の幸せ」だ。ひたすら相手のため、必要としてくれる人のために尽くす、そういうエゴのない生き方が、自然と自分の居場所を作るのだろう。自己成長も他人を幸せにするための手段なら大いに賛成したいが、そうでない人の方がなんと多いことか。
福井さんの様子は上記のリンクのAmazonのページでもアップされているので、ぜひ見て欲しい。非常にかくしゃくとして100歳には見えない。
就活のまっただ中に居て、働くことの意味がいまいち明確にならない人におすすめの本だと思う。