いい会社に入りたい、とは就活生なら誰しもが考えること。知名度があって給料が良くて休みが多くて社会貢献ができて気の合う仲間が居て仕事そのものが面白い、なんていう夢みたいな会社はなかなか無い。だから「良い要素」に優先順位をつけて何かを妥協することになる。仕事が面白いけどやたらと残業が長い、社会貢献ができるけど給料が少ない、仕事は面白いけど職場の雰囲気が悪い、等々。何を優先するのかは人によってかなり異なる。
いい会社の定義が異なる理由はステークホルダーの立場の違いによる。給料が良いというのは、得られた利益を社員に分配してしまうことだから会社のオーナーにとってうれしいことではない。休みが多いというのは社員の家族にはいいことかもしれないが、労働時間が少なくなるので会社にとっては困る。製品やサービスの価格が安いことは顧客には嬉しいことだが、それで安月給なら社員は堪らない。
アメリカならオーナーたる株主を第一に考え利益を高配当として還元するしリストラも躊躇せずバンバンやるが、日本ではそういう考え方はあまりしない。会社は経済的な観点ではオーナーのものだが、それ以外の面では社員、社員の家族、顧客、地域社会など、ステークホルダーは多岐にわたる。日本らしい考え方であれば、それら全て、誰にとってもイイと言えるのが理想の会社のあり方だ。
この観点で言えば、お客さんは喜ぶけど作業がやたら危険な仕事ってのは駄目だし、給料が良いからといって月の残業時間200時間が続くとかも駄目だし、むちゃくちゃ仕事が面白いんだけどそこに没頭して家族サービスしないってのも駄目ってことになる。「やり甲斐の搾取」という言葉があるが、知らず知らずにブラックに陥るのはきちんとステークホルダーのバランスを考えないことに端を発する。
実際のところ、働く先輩社員の話を聞いただけではいい会社かどうかを判断するのは難しい。「仕事に生きがいを感じる」「仲間が楽しい」「居心地のいい会社だから」と誘われて、いつのまにやら気がつけば会社に毎日14時間以上も滞在しなければいけないとしたら、それはいい会社とは言わないだろう。やり甲斐をもって一生懸命働いている社員が多くとも、ちょっと見方を変えれば一方方向にしか目を向けていない危ない集団と解釈することもできる。
社員が自分の成長や給与だけを考えず、ステークホルダー全体の利益を考えて良い会社にしようと思っているかどうか、そこが分かれ目じゃないかと思う。
さてテクダイヤはどうなのか?社長がよく使うこの言葉をその回答としたい。
「テクダイヤはいい会社ではない。いい会社になりたい会社なんだ。」