現在読んでいる本がユヴァル・ノア・ハラリ著「サピエンス全史」だ。話題のベストセラーで書店に行けば平積みになっているし、ビル・ゲイツやザッカーバーグ、「銃・病原菌・鉄」の著者ジャレド・ダイヤモンド推薦っていうくらいだから面白いのは当たり前なんだが、ここ3年読んだ本の中ではベストと言ってもいい。まさに目からウロコの内容にページをめくる手が止まらない。
この中で、科学の進化というのは「知らない」「まだ解っていない」ということが前提になり、新たなことを知ろうとする力が原動力となっているが、それまでの宗教が支配していた時代の世界観は神が全てを「知っている」ことが前提になっており、未知に踏み込もうとするのではなく神に全ての事象の理由を求める、と述べられていた。なるほど、そういう考え方も出来るか。
それまで知らなかった新たな知識に遭遇した時、さらには、あたり前になっている常識を覆してくれる時、人は感動する。この本はそういう体験が上下二巻の中に何度も訪れる、優れた本だ。
さて先日、大学生と話をするイベントで「御社にとって『おもしろい人』とはどんな人ですか」という質問があった。私が考える面白い人とは、これまでに無い価値観を社内にもたらす人だ。「え、そんな方法があったのか」と、まさに目から鱗が剥がれるような、そんな革新的な考え方ややり方を社内に持ち込んでくれる人が居てくれるとうれしい。
進化よりも創造、改善よりも革新。大胆さと勇気を持って、周囲を巻き込みながら新しいことにチャレンジする、そういう冒険者に会社に加わって欲しいと思っている。
会社や仕事にどうやって新しい価値観をもたらすのか?テクダイヤの推し進めるワーク・ライフ・バランスにその答えの一つがある。
会社人間になって仕事に没頭し続けると、狭い価値観にとらわれ組織人間になり、世間の常識が通用しなくなっていく。いわゆる典型的なひと前昔のサラリーマン像だ。だが、その価値観は経済が上昇機運にある経済成長期は望ましい働き方だったかもしれない。脇目も振らず仕事に専念することが自動的に成功につながっていた。
しかし、クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」でも指摘されているように自身の持つ価値観を否定するようなドラスティックな考え方ができない企業は凋落、または合併を余儀なくされている。今、アップル、グーグルなどの勢いのある企業を見れば、新しい価値観を貪欲に取り入れることがいかに求められているかが分かろう。アップルやグーグルの社内は「これ仕事?」と思うくらいに遊ぶ道具や施設、仕組みが溢れているのは有名な話。仕事のヒントは仕事を続けているだけでは得られない。
テクダイヤでは会社オンリーの人間になることは望まない。会社は仕事が終わったらさっさと帰る。帰って自分の活力やアイデアをチャージすべく趣味や自分磨き、家族サービスに努めてほしい。そうやって会社以外で培った新たな価値観や考え方を会社に持ち込んで欲しい。
だからワークライフバランスは単にプライベートの時間を伸ばそうなんていう気楽なものではない。自分の時間を確保するためにハードに凝縮して働き、そうやって確保した時間を有効に意味のある時間として費やす。「帰ってもやることが無いから会社に残っている」「趣味がありません」とか、プライベートがスカスカな人間にいい仕事が出来るわけがないのだ。