社名の由来

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今回はテクダイヤの社名の由来について。社名にダイヤという文字が入っているのは紛れもなくあの世界で一番硬い鉱物であるダイヤモンドから来ている。テクダイヤは創業当初、ダイヤモンド原石を取り扱う商社だった。それがどうしてメーカーに転身したのか。

 

商社は原則的には商品を右から左に流す手数料商売。天下のデパートだってそれは同じ。百貨店は売値に対して4割位の仕入れ値と言われている。(つまり4000円で仕入れると店頭では1万円で販売される。これならセールで2割3割引でも大丈夫だし、大特価で半額だとしてもまだ仕入れ値を下回らない)。だが独占販売でもないかぎり仕入れ値の10倍とか20倍の値付けは商社としてはいくらなんでも無理がある。

 

ところがメーカーなら原材料に加工を施すだけで原料費から何倍もの販売価格をつけることが可能だ。加工が特殊なダイヤモンドならなおさらのこと。「これは商社よりもメーカーの方が手っ取り早く儲かるんじゃないか?」と先代社長は考えた。とはいえ自分は商社マンであって技術者ではない。そこで取引先の職人に声をかけて会社に誘うことにした。「俺と一緒にやらないか?」

 

こうして誘い入れた技術者と最初に作ったのが半導体の板を切るためのダイヤモンド・カッター、スクライビング・ツールだった。この特殊なダイヤモンド工具は使い方が少々難しい。先代社長は日本全国の半導体工場を、営業と技術指導を兼ねて行脚した。

その結果、半導体メーカーの若きエンジニアたちと知り合いになることができた。するとまた例の魔法の呪文が唱えられた。「オレトイッショニヤラナイカ?」

呪文にかかったかどうかはさておき大手セラミックス企業を退職した社員は、数年の後テクダイヤで、当時としては世界最小サイズのコンデンサーを作り上げた。

創業間もないころに入社した社員の経緯は、よく聞いてみれば皆、早い話がナンパなのだ。先代社長の動物的嗅覚なのか、それとも悪い癖なのか、面白い人が居ればついつい声をかけて誘ってしまう。

しかも桃太郎でさえ食べ物(きび団子)で仲間を募ったというのに、先代社長は高給やストックオプションのようなエサは全くぶら下げてもいない。そこにあるのは「やり甲斐」だけだ。

 

何をするかではなく誰とやるのか。この人と一緒に仕事をしたら楽しいかもしれない、面白いことが出来るかもしれない。そういう双方の志で化学反応が起きることによって入社に至っている。

何をするかにはそれほどこだわらない。だから少々軌道修正があってもOK。「こんな話聞いてない」などと文句を言っていたら小さい企業は残っていけない。だが、かえってその柔軟性のある姿勢が強さへと変わった。

テクダイヤの特徴は時代の変化に合わせ、アメーバのように柔軟な対応を取れること。先代社長は引退し、代は替わっているのだが面白い人と楽しく仕事がしたいというポリシーは変わらない。商社であろうとメーカーであろうと構わない。こだわるのは業種ではないのだ。

 

テクダイヤは砂粒のように数多く存在する中の一企業かもしれない。しかし我々はその砂の中でも埋もれることなく、小さくてもキラリと光るダイヤのような存在感を保ち続けていたい。社名にダイヤの文字が残っているのはそんな理由なのかもしれない。