就活における煽り

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※注意:本日のブログは就職情報サイトや就活関連企業にとって非常に不愉快な内容が含まれているので、関係者は読まない方がいいでしょう(笑)。

 

経団連が来年の就活選考の開始時期を2ヶ月繰り上げて6月から、と決めた。選考しないのに内定が出るわけない、という建前だから選考開始日はつまり「内定出しの解禁日」と解釈される。

景気の波だけでも採用市況は変化するのに、こうも選考開始日が変わると企業としても対応が難しい。そうでなくとも就職情報サイトというのは企業を食い物にしてているのだから。

就職情報サイトの本質は広告業者。テレビや新聞のように、見る人・読む人が多くなればなるほど広告料は高くなる。就活サイトの場合、読者は学生である。たくさんの学生が訪れるサイトを作ると高い金額で広告スペースを売ることが出来る。

就職情報サイトがあれやこれやと学生にアプローチしサービスを提供するのはボランティアではない。やれエントリーしろ、先輩達は平均で30社エントリーしたぞ、エントリーが多い学生ほど内定を取ってるぞ、と煽るのはそのエントリー数がテレビの視聴率の如く企業にアピールできる実績となるからだ。餌(エントリー)が無いと魚(企業)が釣れない。単純な理屈だ。

就職情報サイトの商売ってのはほんとにマッチポンプ(※自分で油を汲んで自分で火をつけ炎上させること。自作自演。)で、学生には「今年は大変なことになるぞ」と危機感を煽ってサイトに登録させ、企業側には「今年は優秀な学生を確保するのが難しい」と煽る。マスコミに言わせると毎年就活は大変になってしまう。今年は昨年より楽だ、なんて口が裂けても言わない(笑)。

広告業ってのは煽ってナンボ。「今これを見ないと話題についていけない」「いまこれを買わないと時代遅れ」」「流行に取り残されるな」は常套句でしょ。

トルストイのアンナ・カレーニナの冒頭に「幸福な家庭みな同じようだが、不幸な家庭はそれぞれに違う」という言葉があったが、採用もうまく行っているところはどこも似ていて、採用がうまく行っていないところというのは事情がそれぞれ異なる。だから病気の治療のように万病に効く薬は無い。

ところが就職情報サイトというのは大手2強とあとせいぜい3つ4つほどで、それほどサービスの違いは無い。どこ行ってもおなじ治療方法で、とにかくバンバン患者に薬を処方するがごとく「ダイレクトメール打ちましょう」「展示会に出ましょう」「上位表示オプションつけましょう」で、どう考えても患者それぞれに最適化された治療に思えない。病院ですら今時「薬に頼らない治療をしましょう」と言ってくれる医者は多いのに。

これは学生も同じこと。すべての学生が皆同じように選考をクリア出来るわけではない。エントリーをたくさんしたからと言ってお百度参りやお遍路さんじゃあるまいし願いが成就するわけではない。他の学生がしゃべりそうな自己アピールを並べても面接官には響かないだろう。

と、散々悪口を言っておきながらそれでも大手就職情報サイトに頼らざるを得ないのがまた口惜しいところ。そりゃ40年も続いていて宇宙産業とか防衛産業に使用される電子部品のメーカーである我々が「30分以内に5人前の超大盛りラーメン完食したら採用」とか「円周率1000桁言えたら採用」みたいなことは出来ないし、またするべきでもない。とはいえ、ひとえに採用チームの努力が足りないの一言に尽きる。

まだまだ採用での試行錯誤は続く。