内定とはなんぞや?

先週の土曜のニュースでは就活の話題が取り上げられていた。今年から倫理憲章によって、この8月1日から内定(実質的には内々定)が出るからである。

建前上、8月1日は選考開始であり内定が出るのは10月1日。しかし「選考も無しに内定は出せない」という理屈はイコール「選考したら結果は出る」と解釈され、正式内定前に選考結果としての合格を本人に言い渡す。これが内々定の正体だ。

あまり広く知られていはいないが内定には「始期付解約権留保付労働契約」というお経のような法的名称がある。始期付きとは、いつから働くかが明示されていることを指す。新卒社員は募集の段階で卒業後の4月1日から働くことが明示されているので、自動的に始期付きと解釈される。

解約権留保付きとは、労働開始前でも契約を解約する権利を企業が持つという意味。卒業できないとか卒業までに重大な犯罪を犯したなど、特別の事由がある場合に企業は契約を解約できるのだ。

労働契約として成立するにはそれ以外にも給与の額、仕事の内容、労働場所が明示されている必要がある。新卒の場合、就職情報サイトにはこれらの条件が必ず書かれている。

内定は労働契約なので法的拘束力がある。内定を企業側が一方的な理由で取り消すことはできないし、万が一そういうことになれば企業は場合によって慰謝料などを払う必要が出てくる。学生だっていきなり内定を取り消されたりしたら、そこからまた就活をしなければいけないわけで損害は大きい。リーマン・ショックの時や2011年の震災の後にはとりわけこの内定取り消しが大きな社会問題になったことは記憶に新しい。

一方学生の方はといえば、契約の解除(つまり内定辞退)は出来る。これは通常の退職手続きと同じで2週間前に告知すれば良いことになっている。ってことは、内定辞退というのは会社の退職と同じ意味合いを持っているわけで、断る場合にはそれなりのマナーが必要。くれぐれもメールだけで終わらせる、なんてことが無いように気をつけたい。