リモート世代

2023年卒の採用が始まった。来年卒業の学生はコロナの影響をモロに被っていて、授業はリモート、留学は取り消し、サークルも無い、バイトの働き口が少ないなど、ことごとく就活アピールポイントが削がれてしまい気の毒なこと極まりない。加えて就活でさえ会社説明会もリモート、グループディスカッションもリモート、面接もリモートと、リモートづくし。それでいて入社してもリモートだと目も当てられない。世間的には、というより政府がリモートを推進していることもあり、リモートワークを取り入れている企業は多い。その流れでリモートをやらない会社は古いだの遅れているだのという陰口もチラホラ聞く。

 

だがあえて声を大にして言いたい。リモートに頼ってばかりいると、そのうち大変なことになるぞ、と。

 

もともと人に会うのが好きで、リモートによって浮いた時間でよりたくさんの人に会いたい、対面のコミュニケーション機会が増えるという人は問題がない。しかし対人関係が苦手でリモートにしている人は、より一層苦手なままになっていく。ちょうど、体力が無い人が2階に上がるためだけにエスカレーターやエレベーターを使うのと一緒で、使わなければ対面コミュニケーション能力はどんどんと落ちていく。

 

通信や物流にはラストワンマイルという言葉があるが、対面コミュニケーションはまさに「ラストワンメートル」でITでは絶対に解消できないフィールドだ。相手の呼吸を感じる、相手の体温を感じる、相手の微表情を読む、言いたいことを察知する、そして相手を説得する、その気にさせる、共感し合う、共鳴する。人と関わり合うための術は機械に取って代わることがない。生身の人間の愛の告白より、SNSで告ってもらった方がいいなんてヤツは居ないのだ。

 

あと何年かすると今の世代は「リモート世代だから」と言われ「コミュニケーション能力が劣る」「空気が読めない」「説得力が弱い」「表情が乏しい」「ネットでは印象良いんだけど会うとがっかり」などと揶揄されるようになるのではないだろうか。そういうことが懸念される今だからこそ対面コミュニケーション能力は希少価値を持ち、大きな武器となる。

 

テクダイヤがこの時代に出社を基本としているのはそういう理由である。