引き出し

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無人島に行くなら何をもっていくか、というお題はグループディスカッションのテーマとしてよく取り上げられる題材だ。ライター、ロープ、ナイフ、テント、ラジオ、方位磁石、時計、などなど様々な選択肢から選び、その是非について討論を重ねグループごとの結論を見出していく。

グループディスカッションでは持っていけるものは制限されているが、実際に無人島に行くとなれば運搬の手間を考えなければ出来るだけ持ち物は多い方がいい。わざわざ自分から放棄することはない。何しろ無人島には何があるのか、そして何が起きるのかわからないのだ。

ところが学生時代にどんな勉強をしておいた方が良いのかという問いに対してはどういうわけか「数学は必要ない」「英語は自分には関係無さそう」「歴史なんて興味が無い」「芸術には感心がない」と、将来武器になりうるもの、自分を救ってくれるかもしれないものを簡単に削ぎ落としてしまう人は多い。

何が将来起きるのか、そのときどんな能力が必要なのか無人島ほどにわからないのは、このコロナで散々思い知らされたはず。当然、選択肢が多ければ多いほど、引き出しは多ければ多いほどいい。知力・知識はその基礎だ。

引き出しを活かせるかどうか大切な要素の一つが体力だ。体力はやる気と決断力に影響を与える。平時に普通にこなせるのは当たり前で、コンディションがベストでない時でもそこそこのパフォーマンスが出せることが大切だ。この体力維持、健康維持を社会人になってから新しく始めようとしても難しい。なので学生のうちに運動習慣を身につけておくことが望ましい。

さて引き出しを活かす要素の2つ目は、人の中に飛び込んでいく行動力だ。この行動力はコミュニケーション力、交渉力、共感力など、人と関わらなければ養えない。一人で勉強しても、一人で体力を養っても、人の中に飛び込んで行かなければ経験値は積み上がらない。アルバイトでもボランティアでも、部活でもなんでもいい。人に揉まれ、褒められ、いじめられ、笑い、泣き、感動し、失望し、その中で共感力や説得力、断り方、逃げ方など処世術を学んでいく。

特に行動力は学校の授業では教えてもくれないし、教えてもらって身につくものでもない。自ら動いて習得するしか学ぶすべがないから厄介だ。コロナで人と接するチャンスが削がれている今、それを言い訳にして人と関わっていかないと、出来る人と苦手な人の差がどんどんと開いてしまう。

無人島に行くのに持ち物を削ることはない。持てるだけ持っていけ。