あなたのまわりの懐中時計

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かつてテクダイヤ本社が池袋のサンシャイン60にあったときの話。年末の大掃除で前社長の机周りの掃除をしていたときのことだ。

パソコンの配線周りの整理をしていて、どうしても机を移動しなくてはいけなくなった。机の引き出しの中身を取り出し、机を移動するために持ち上げた瞬間に、ゴロっとなにかが飛び出てきた。

金色の丸い塊。懐中時計だ。よーくみると字が書いてある。えーっとなになに、International Watch Co。

げげ、IWC!インターやん!貴重なアンティークが無造作に机の中に入れてあるところがいかにも先代社長らしい。

今どき懐中時計なんてコレクションアイテムであって実用品ではない。ジーパンの右前ポケットに小銭入れみたいな小さなポケットにその名残があるが、ジーンズが始めて作られた当時はかなり普及していたのだ。

それが腕時計に取って代わられ、そして今、その腕時計ですらスマートウォッチに代わられつつある。

先月、年老いた母親の代わりにお歳暮の手配をした。東北のりんご農家への注文方法が、FAXか郵便のみ!支払い方法は当然のことながら振り込みか現金書留だけ。キャッシュレスのこの時代に郵便の注文に現金書留というのは、スマホを持たずに懐中時計を使うのにも等しい。

我々の世の中というのは次の懐中時計がいっぱい潜んでいる。新しいことに面倒臭がっていてはすぐに取り残されてしまう。

テクダイヤでは仕事でFacebook MessengerやLINE、Skype、WeChatなどのアプリを使う。自分はよくわからないからメールにします・電話で済ませますというのは、電話の使い方がよくわからないから直接会ってきます、と変わらない。

電卓が使えないからソロバン使います、デジカメはよくわからないからフィルムカメラ使います、という話には笑うくせに、今どき自分は現金派です、ネットバンキングすらしませんという人が多いのだから困ってしまう。

面倒くさがらない、そして面倒でもやる。いつまでも懐中時計を使わないように気をつけたい。