いい会社と活躍できる会社は違う

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私がサラリーマンになってから初めて買った車が、スウェーデンの航空機メーカーSAABという会社のものだった。中古で4年落ちの車。SAABといえば比較的知られているのは9-3という型番のものだったが、私が購入したのはサイズのデカい9-5の方。

当時としては珍しい、比較的小さいエンジンにターボを積むというコンセプトで、2.3リットルに低速ターボを積んでいた。スピードはそんなに出ないもののトルクは3.5リットルエンジン並みで非常にパワフル。アクセルを踏みこまなくてもグイグイ進むから燃費もいい。FF(前置きエンジンで前輪駆動)というレイアウトで後部座席が非常に広く、トランクも馬鹿デカい。

何より気に入ったのは側面衝突の安全性能で、当時販売されていたEクラスベンツよりも優れていた。それでいて不人気車のため、新車の値付けが高い割に中古車が安く、とてもお買い得だった。同じ車にすれ違うことが年に1度しかないレアなところも良かったし、知らない人からも「これ何て車?いいねぇ」と声をかけられたことも度々あった。

しかし好きで乗り始めた車だが2年ほどで売ってしまった理由は、その乗り心地。よく言えば柔らかくふんわり、悪く言えばフニャフニャ。ブレーキを踏むと前につんのめり、アクセルを踏むと後ろに倒れ、カーブに入るとシートから滑り落ちんばかりに車体が斜めになる。高速道路でスピードを上げると、ふわふわと空中を浮かんでいるようで大変心もとない。

このグニャグニャの乗り心地で同乗者が酔うのも問題だが、自分でハンドルを握っていて運転していても酔うようになり、それで手放すことにした。

さて、就活でにおける会社選びの基準で一番大切なのは、会社のスペックや知名度、世間体でなく、自分が活躍できるかどうかである。好きで入った会社なのに合わない、有名な会社に入ったのに日の目を見ないというのはかなり悲しい。

70:20:10の法則で触れたが、人が能力を伸ばす要素において経験を積む・場数を踏むことが一番大事だ。会社がいくら立派に見えても、いくら素晴らしい研修制度があっても、どんなに福利厚生がよくても、その社員個人が経験を積める場がなければ成長しようがない。

スペックや世間体で会社選びをするのではなく、「どう働くのか」という当事者目線を持つことが大切だ。

ちなみに自動車としてSAABは経営破綻し、現在はもう無い。