就活がうまく進まず、内定はもらったものの就職浪人をして来年の就活にチャレンジしたい、という学生さんの声を最近よく聞く。やりたいことが見えないからじっくり考えたいという気持ちには同情するものの、意中の企業に落ちて再挑戦したいというのであればオススメしない。
採用で企業が重視するのは経験だ。それも就活後に即戦力として実績を発揮する土台となるような経験がもっとも望ましい。欧米でインターンがほぼ必須となるのはそういう理由からだ。日本では学生にそれほどリアルなインターンをさせている例はほとんど聞かない。1日インターンとか2週間インターンとか、それらは就業「体験」であって実力を養うための経験なんか積めっこない。かわりに日本企業が重視しているのは部活動(正式な体育会や強豪の文化系部活動など)だ。
就活がうまくいかなかった理由の多くが、これらの経験が不足していることに由来すると思われる。学生はどうしても受験のイメージが強いのか、就職試験に落ちたのはエントリーシートやSPIの点数が悪かったから、たまたま面接で上がってしまったからと、瞬間風速的なスピード不足でうまくいかなかったと考えがちだが、企業側はもっと長いスパンの「経験」を重視しているのだ。
試験を重視すると「たまたま」試験だけが良かったという人材が通ってしまう可能性がある。学校にとって生徒はお金を払ってくれる身分だから、能力不足の人間が通ってもお金さえ払ってくれれば文句は無かろう。しかし企業は社員にお金を払う立場なのだ。仕事が出来ない人材が採用スクリーニングですり抜けてしまうのは大問題。だから試験よりも経験を重視する。就職浪人したからといって、半年そこらでは大した経験は詰めまい。だから就職浪人はおすすめしないのだ。
またこれからはじめて就活をする、または現在している就活生にアドバイスしたいのは、アピールすべきは体験ではなく経験、という点だ。発展途上国に行ったことがあります、スカイダイビングしたことがあります、乗馬の経験があります、と言われてもそれだけでは全然就活的アピールにはならない。
しかし「発展途上国のボランティア活動に20回行きました」「スカイダイビング100本飛びました」「乗馬10年」となればそれらは立派な経験となる。
どんなに稀有な体験でも、そこから学びを得たというのは嘘くさく聞こえる。地味でもいいから、その地味な経験から何をどう学び、どう活かされているのか、そこがアピールのしどころなのだ。