安藤忠雄という建築家がご存知だろうか。日本を代表する世界的な建築家だ。今でこそコンクリート打ちっぱなしの建造物なんてそんなに珍しくはないが、日本でこれが流行ったのはこの人の影響が大きい。もっとも安藤忠雄といえば、今では表参道ヒルズのビルをデザインしたという方が有名だろう。
安藤忠雄のすごいところは建築が独学だという点。しかも大学すら行っていない!おまけに元プロボクサー(笑)。普通こんなのあり得ない。
そしてもう一人紹介したいのが、故人ではあるがバイオリン製作者の陳昌鉉。草なぎ剛で主演のドラマにもなったので、知っている人は多いかもしれない。この人は明治大学の英文科を卒業。その後、バイオリン製作を誰からも教わらずに全くの独学で習得し世界的なバイオリン製作者となった。
陳昌鉉がどれだけ苦労したのかは著書「海峡を渡るバイオリン」か、コミック化された「天上の弦」に詳しいので、興味のある人は読んでもらいたい。
自分で勉強する大切さは、なにも一部の最先端を行く人達に限られたことではない。
企業側の本音を言えば理想的、優秀な新人社員というのは自分からどんどん学習し成長していく手のかからない社員だ。ではその対極はといえば、教えてもらうまで待っている自己学習のできない社員だ。
テクダイヤも電子部品の会社、それも秋葉原はおろかRSオンラインやDigi-Keyですら買えないようなマニアックな部品を作っているから就活生は文系に限らず理系学生からも「自分は製品がわからないのですが、入社したら教えてもらえるんでしょうか」という質問は頻出する。
もちろん我々の会社に限らず今どきの企業は「盗んで学べ」なんてことは言わない。「入社したら研修もあるし、優しい先輩が丁寧に教えてくれますよ」とマニュアル通りに答えはするものの、だれだって教えなくたって自分でどんどん学習し自己成長してくれる人が欲しい。
「教えてもらえるんでしょうか?」という質問の後ろ側にどうしても「教えてくれないことはやらない」がチラチラ見え隠れし、問題が起きると「だって教えてもらってません」「聞いてませんよ、それ」を予感させてしまう。学生は主に答えのある問題を解くことが多かったかもしれないが、社会人は答えがわからないもの、「教えてもらってない」ことを相手にすることが多い。
意地悪な面接官だったら「教えてもらえるんでしょうか?」という質問に「では教えてもらえなかったらあなたはどうしますか?」と逆質問で返すかもしれない。
どんな仕事でも勉強は必要だ。誰も教えてくれなくたって自分でなんとかしてやる、くらいの気持ちを持つことが内定ゲットのための重要な心持ちであると同時に、就職した後の成否をも分ける。
教えて君は早めに卒業しよう。
さて最後に、「教えてもらえますか?」が使えないとしたらどう質問すべきか。「知識の無い新入社員や他の業界から入った社員は、御社のサービスや製品に関してどうやって知識を身に着けているのでしょうか?」と聞けばいい。
そこで「勝手に各自でやってるみたい」と答える会社は新人を放置する社風だから気をつけたい。