さて、クリスマスも近づいているので今回はプレゼントを買おうと思っている男性、または買ってもらおうとしている女性に夢のない話をしよう(笑)。
ダイヤモンドは永遠に、というのは有名な007の映画タイトルではあるが、実はちっともダイヤモンドは永遠ではない。
御存知の通りダイヤモンドはこの世で一番固い鉱物である。しかしこの硬さが災いして、とても欠けやすい。欠けやすさという点では実は翡翠の方が強い。中国人が翡翠の腕輪をよく身につけているが、あれは割れにくいから可能なのだ。
ダイヤモンドの宝飾品で比較的高価なものには鑑定書が付いている。色や大きさなどのグレードと共に、傷や内包物(天然の鉱物には不純物が含まれる)の等級がついているが、指輪として普段使っているだけで傷が付き、このグレードが下がることもある。そんなに無敵ではない。
またダイヤモンドは親油性が良く、非常に油がつきやすい。ダイヤモンド鉱山の採掘現場では、油(グリス)を使って原石を選り分けているほどだ。この親油性のせいでダイヤモンドを身につけるとあっという間に人の手の脂がダイヤ表面にくっついて輝きが曇る。アルコールやベンジン、アセトンで指を洗ったとしても触るだけでダイヤモンドはまるで引き寄せるかのように脂をまとう。
だから指輪にしろネックレスにしろ、汗をかくとその汗に含まれる脂が簡単につく。ダイヤを身に付ける人は間違いなく化粧をしているので、その化粧のパウダーをダイヤ表面の脂がキャッチする。すると益々曇る。以下、この無限ループ(笑)。
枠にはめられているとなかなかこの汚れが取れない。歯ブラシを使っても爪の裏側なんて届かないから綺麗に洗えない。効果的なのはメガネ屋さんの店頭にある超音波洗浄器だ。これを使うと綺麗に汚れが落ちる。もしダイヤモンドがイマイチ輝かないと思っている人が居たら、早速メガネ屋さんの店頭で洗ってみてほしい。「え、ダイヤモンドってこんなに綺麗なの?」と思えるほど輝きが戻るはずだ。
というわけで、言われているほどダイヤモンドは永遠でもないし、身につけてしまうと輝きという性能が十分発揮できないなど、あまり値段ほどの価値が見いだせないのが実態だろう。
もう一つ厳しいことを言えば、ダイヤモンドがキラキラと7色に光るためには太陽光が理想。昨今のLED照明は光線を分解しても理想的な7色には程遠い。つまり室内ではダイヤモンドは綺麗に光らない。アウトドア派はそもそもダイヤなんか身につけて外に行かないだろうし、インドア派はせっかく身につけても綺麗に見えないというものすごい矛盾が生じている。
とはいえ、ダイヤモンドを買ってあげるというのは象徴的には「君のことを大事に考えている」ということを表現しているので、それはそれで悪いことではない。ぜひ本物のダイヤモンドを買って、その愛が偽物ではないことを証明して頂きたい(笑)。
最後にアドバイス。買うなら鑑定書なんて気にしないこと。普段身につけるのであれば指や首に鑑定書をぶら下げて歩くわけではない。おまけにそのダイヤを顕微鏡でジロジロ見る人も居ない。だから色やグレードも肉眼で分からなければ等級を落として大きいダイヤを買った方がお得なのだ。