受領は倒るる所に土を掴め

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もう遠い昔の話ではあるが私は大学受験に失敗して浪人している。今でこそ少子化の影響により学生数確保のために推薦や一芸入試など、選考の幅が広がり浪人生の割合が少なくなっているが、私が大学受験をした頃には浪人は珍しくもなんでもなかった。とはいえ、浪人生は基本的に暗い。

同級生がいち早く大学に入ってキャンパスライフを謳歌している時も引け目を感じ、大学に入ってからも自分よりも年下の人間と同級生となることにある種の屈辱感を味わい、そろそろそれも慣れてきたと思った頃に高校時代の同級生が先に就職していくことで傷に塩を塗りこまれるような劣等感にさいなまれる。

が、今から考えると結局その回り道と劣等感が役に立っていることが多いと気がつく。留学経験が無いにも関わらずある程度の英語が出来ることも、国内・海外の歴史や文化に対する知識が仕事の理解や興味を広げていことも、苦手だった作文が小論文という形で鍛えられたことも、またその小論文対策のために読んでいた本が読書癖となってその後も継続していることも、浪人という経験が無ければ得られなかったかもしれない。

テクダイヤでは採用に関して年齢は問わない。しかし経験は問う。年齢と経験は比例すべきだ。受験に失敗してもいい。留年してもいい。就活に失敗してもいい。だがその遠回りした分、むしろ遠回りしたからこそ余分に何かを身に着けていなければ遠回りは無駄になる。そしてその余分な何かが必ず後で役に立ち、過去の失敗が失敗でなくなる時がやって来る。

面白い小説も映画はいつも、挫折や失敗に満ちているのだ。