日本の常識は海外の非常識

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フィリピンのリゾート地で武装集団がホテルを襲撃、外国人観光客が誘拐された、という事件が報道された。フィリピンでもセブのような安全な観光地もあるが、ミンダナオ島にはイスラム派のゲリラ組織も多く、危険な地域も多い。

私がセブに赴任していた時にも外国人を対象とした警察のセミナーが開催されたことがあった。目立つ行動をしない、通勤も買い物でも経路をパターン化しない、メイドや運転手に不用意に行き先を教えない(犯人と通じる事があるから)、など注意を受けた。

自分では全くそういう意識がなくとも外国人というだけで現地ではかなり目立つ、と考えた方がいい。個人ではお金持ちでなくとも日本という国がお金持ちだと 思われているから誰だってターゲットになり得る。

スマホなど手に持って歩いているとひったくりに遭う可能性がある。買い物でお金を財布から出し入れする時も、紙幣を大勢に見られるような場所で不用意に出さないなどの注意が必要だ。レストランで食事をする時、持ち物を隣の席に置いたりバッグを視線の届かない背もたれにかけておいたりすると取られる可能性は大きい。私もオークリーのサングラスをセブのイタリアンレストランで置引きされたことがある。

フィリピンだけが危険なのではない。かつてテクダイヤに台湾事務所が出来る前、出張へ行った社員2人が食事中に車上荒らしに遭い荷物をほとんど盗られてしまうという事件があった。その社員のうちの一人は台湾人であるにもかかわらずだ。彼の話によれば、おそらくどこかもっと前の段階で目をつけ られ尾行されていたのではないか、とのこと。車上荒しだって手当たり次第に車を破っていたのでは効率も悪く通報されてしまう。限られた時間で金を持っていそうな外国人の乗る車だけをターゲットにするのは偶然ではあり得ない。

そんなことを言っていると海外がどこでも危険な場所になってしまうかって?そうではない。日本だけが異常なほど治安が良すぎるのだ。「日本の常識は世界の非常識」とは私がセブに赴任した時に上司であった工場長がよく使っていた言葉だが、まさにその通り。

外敵が入ってこないモーリシャス諸島に生息していた飛べない鳥Dodoは、大航海時代になって入ってきたヨーロッパ人によって絶滅させられてしまった。人や犬を知らないから警戒心が薄く、格好の餌食になってしまったのだ。日本人のリスク意識はこのDodoにかなり近い。

トラブルに遭う人のほとんどは、トラブルを招く原因がある。きちんとしたルール(単に法律というだけでなく現地の習慣やしきたり等)に従っていればセブなどはそうそう危険な目に遭うところではない。

若い人たちにはどんどん海外に飛び出していろんな経験をして欲しいと思うが、不用意・無防備に飛び出してはいけないのだ。

さて、前述の台湾で車上荒しに遭った社員の顛末であるが、台湾人社員はパスポートまで取られて帰国出来ず。日本人社員の方はたまたま胸のポケットにパスポートとチケットを入れていたので、かろうじて帰国が可能。もちろん手ぶらでの帰国だ。日本への入国審査が終わって税関検査を手ぶらで通過しようとしたら税関職員に不審者と思われて呼び止められたそうだ。あそこを完全な手ぶらで通過するなんてそう滅多にあるものではない。