就業規則

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先日、帰宅する電車の中で目の前に居たOLの会話が何の気無しに耳に入ってきた。

トピックは会社を突然辞めた社員のはなし。ある日連絡も無く会社に来なくなり、なんとか連絡先を見つけてコンタクトしてみたら「辞めます」と告げられたのだそうだ。会社でその人の机やロッカーを開けたら、見事に中身が無かったから計画的な失踪だ。

そこから二人のOLの会話は、会社をやめる時は何ヶ月前に言わなくてはならないか、という話題になった。「3ヶ月前だっけ、6ヶ月まえだっけ?1ヶ月じゃ仕事の引継ぎなんて無理よねぇ」などという話をしていた。

一般的には就業規則上で1ヶ月前としているところが多いが、労働法では2週間前の告知でOKということになっている。第一、結婚や出産などというオメデタイ理由で会社を辞めるばかりでなく、人間関係のゴタゴタや会社に対する不満で辞めることの方が多いだろうから、そのような状態で半年も会社に居られる精神構造の人はいないだろう。

就業規則というのはどの会社にもちゃんとある。が、労働基準法の方が強いから、会社が勝手に一方的な規則を作ってもいざ裁判となればほぼ無効で意味が無い。とはいえ、遅刻をしたら罰金にするのか、それとも何回やったら一日欠勤扱いにするのか、または遅刻は一切問わないなど、会社によって考え方はまちまちなので、それを就業規則として規定しているのだ。(ちなみに遅刻で罰金を取っても、欠勤扱いにするのも違法なんだけど)

私も前の会社で就業規則そのものの存在すら知らなかったし、冒頭に出てきたOLさんたちも、おそらく会社の就業規則なんて読んだことがないのだろう。いや、世のサラリーマンたちのほとんどが就業規則なんて知らないのが普通なのかもしれない。日本人は一般常識があるから、そこまでやかましく規定しなくとも普通は問題になることはない。

就業規則には独自性を打ち出すこともできる。誕生日は休日にするとか、失恋休暇を規定したりとか、ちょっと変わった規定をしている会社は少なくない。テクダイヤでも昔は、なぜか「会社で個人の自動車を洗車したら駄目」という規則があった。多分そういう社員が居て問題になったのだろう。

これがフィリピンだと結構面倒くさい。一般常識という点では日本人の比ではないからだ。職場で物を食べるなとか、仕事中にガムをかむな、ヘッドフォンで音楽聞くなとか、まるで小学生の教室に貼り出されるような内容まで規定しないといけないのだ。

 

さて冒頭のOLの会話に戻る。

「前に、いっつもクリーム色のワイシャツばっかり来てる人が居てさぁ、後から判ったんだけど、それってクリーム色じゃなくて、本当は白いワイシャツだったんだけど、洗ってなくて黄ばんでたらしいよ」

「えぇぇ、ウソ-!嫌だぁ。」

「その人転勤したんだけど、転勤先の人から電話がかかってきて『よくこんなに臭いの我慢してたね』って言われちゃったよぉ。」

就業規則には「毎日風呂に入れ」「ワイシャツはきちんと洗え」などとは普通書いていない。