昨日クリーンルームについて触れたが、そのクリーン度を測るにはパーティクルカウンターという測定器を用いる。千分の五ミリという小さなゴミをカウントする非常に繊細な測定器で、一台数十万円もする。
クリーンルームの中はゴミ(パーティクル)の数が1立方メートルあたり1000個とか5000個しかない。それに対して野外は100万以上。だから野外の測定なんかやってしまうとセンサーが汚れてぶっ壊れてしまう。そもそもそういう大雑把なものを測定するために作られたものではないのだ。
似たような話に犬の嗅覚がある。人間の2000倍とも言われるほどの嗅覚で犯罪捜査にも使われる犬も、繊細すぎて刺激臭にはめっぽう弱い。
お客のクレーム処理係をする人間は、鈍感な人と繊細な人とどちらがよいのだろうか。前者はどんなクレーマーが来てもうろたえることなく精神的に病まずに淡々と処理できそうだ。しかし実際に顧客目線で問題解決をするのは後者の繊細な人だ。
適性検査を作っている会社の人から「航空会社のCAでも特に成績優秀者の人はストレス耐性が極端に低い」という話を聞いたことがある。乗客の細かな表情や声のトーンを読みとり、問題解決の糸口を見つけ顧客満足に繋げていける人は非常に繊細な人だ。その繊細さが仇となってストレス耐性が低く出てしまう。
自分は押しが弱くて営業向きじゃない、と思っていても実は実直にお客さんに向き合って好成績を上げる「らしくない営業」はたくさん居る。むしろインターネットの情報社会の時代、顧客は騙されにくくなっており「売らんがな」のゴリゴリ営業は敬遠される。
自分が好きだと思っていても仕事で成果を出すことは難しく、また自分で嫌いだと思っていることでも意外にパフォーマンスが発揮できたりもする。だから向き・不向きを安易に自分で決めるべきではない。パフォーマンスを決めるのは好き嫌いではなく、集中できるかどうか、そして打ち込めるかどうかだ。
その点、好き嫌いが激しく理由がないと打ち込めないという人はなかなか結果を出しにくい。四の五の言わずにとりあえず打ち込んでみる。そしてそこから考える。経験が少ない若者には特に言えることだ。