本当はやりたい「バカだけ集合!」

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上場企業でもない無名の会社にとって、現在のような売り手市場の採用戦線は非常に戦うのが難しい。創業間もないベンチャー企業であれば大胆な目立つ採用広告も打ちやすいのかもしれないが、技術や職人技を重んじる当社としてはなかなか思い切ったことがやりにくい。しかし以前からやりたいと思っているのが「バカな奴だけ募集」だ。

だがそれを大真面目に大企業の中でやった人が居た。厳密にいえば新卒採用ではないのだけれど。

イトーヨーカ堂が中国進出した時の責任者だった塙昭彦さんの著書「中国人のやる気はこうして引き出せ」を読んでいて思わず「そうそう、これこれ。これがやりたいんだよ。」と電車の中で声を出しそうになった。

塙さんが中国進出を命じられた当時、それまでは会社の一方的な辞令だけで異動が決められていたものを、直接公募とした。その時のセリフが「利口は要らない。バカも要らない。必要なのは大バカものだけだ」なのだ。

中国にはたくさんの人がいる。単に頭がいいだけなら中国人を雇えばいい。人の言うことをきちんと聞けないバカはどこへ行っても使えない。中国進出には愚直に一生懸命脇目もふらず突進していく大バカものだけが必要、という意味だ。

テクダイヤは日本の従業員の10倍以上の数のフィリピン人をフィリピン工場に抱えている。フィリピン人は入社に際し競争倍率100倍以上を勝ち抜いて入社 する。さすがにそれだけの社員がいると頭の良いのはたくさん居る。英語で仕事をするという側面を除けば「べつに日本人じゃなくてフィリピン人でいいんじゃ ね?」というのがゴロゴロ居る。人件費の高いわれわれ日本人は、相当なプレミアムがなければ存在意義が薄い。ただのお利口さんは要らないのだ。

実際、大学を出てわざわざテクダイヤのような小さく無名な会社に入社するなんてのはバカでないと出来ない。名門といわれる大学になればなるほど小さい会社 に入るのは勇気が要る。家族から「なんでそんな会社に行くの?」という心無い言葉と、有名企業に就職した同級生との世間体の差、という2つの寒風にさら されることになる。

しかしその向こう見ずで大胆なチャレンジ精神こそが、大企業である顧客に物怖じせず対等にビジネスをやる源であり、また、開発資本も桁違いの大手の競合メーカーと張り合う原動力でもあるのだ。

というわけで、本当は「バカだけ集合!」というキャッチフレーズで人を募集したかったのだが、新興のIT系企業ならまだしも、お固い半導体系企業でそこまで冒険はできない。そのうち2~3人しか募集しないような時にはぜひやってみたいと思う。