娘さんをください

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学生と話をしているとよく「私は人と話をするのが好きなので、営業がやりたいです」というのを耳にする。男女に限らず営業職を希望する人のほとんどがこのセリフを口にするが、この言葉に違和感を感じるようでないと就職活動はうまくいかない可能性が高い。

「好きこそ物の上手なれ」で、「好き」がイコール「能力」であれば全く問題は無いのだが、現実として「好き」は単なる志向であって能力を表すものではない。営業としての仕事が勤まるかどうかは本人の好き嫌いではなく、営業としての能力の有無を証明する必要があるのだ。

「理想的な営業マンとは、アマゾンのジャングルの奥地に住む原住民にシルクのハンカチを売ることだ」という言葉がある。営業とは、需用の全くないところで、相手をその気にさせて状況をひっくり返す交渉力が重要な要素を占める。交渉力には確固たる意見や信念、そして説得力が必要である。

ところが、人と話をするのが好きという人の多くは、一緒にいるのが好き、話をするのが好きなのであって、相手の意見を無理やり変えたりすることは苦手な人 多い。摩擦が生じると自分の意見を引っ込めるか妥協して相手に合わせてしまう。これでは優秀なセールスになるのは難しい。

企業は採用に際しては能力を問うものだ。志向は二の次。だから「自分は〇〇が好きだ」ではなく「自分は〇〇が得意だ」とか「〇〇の能力がある」など、志向からは一歩離れ能力の有無を証明することが大切だ。

これを私は娘さんをくださいの法則と呼ぶ(笑)。

結婚の許しを得るために男は恋人の父親に「娘さんをください」と言うのだが、それを言われた親が男に対して求めるのは、自分の娘を幸せにする能力の有無だ。

父親はすかさずこう聞くだろう。「君はうちの娘を幸せにできるのか?」と。

それに対して「真剣に愛してます」とか「私は真面目です」とか言っても、さっぱり答えになっていない。

好きでさえいればお金が無くてもいいなんて親は普通居ない。逆に、それほど恋愛感情が強くなくとも経済力があれば結婚を許す親は多いだろう。経済力は幸せ実現のための大切な能力だ。父親は、自分の娘の彼氏に対して好きかどうかではなく、稼げるかどうか聞いているわけ。

企業も同じ。「会社を好き」とか「自分がこれがやりたい」ということよりも、会社を幸せにする能力を有しているかどうか、ここがアピールの本質なのだ。